
2023年5月26日、バイナンスが日本国内居住者に向けてグローバルの取引プラットフォームのサービス提供を終了して、国内向け新プラットフォームを設立することを発表しました。
海外仮想通貨取引所の中で一番多くの日本人が利用しているのが、おそらくバイナンスではないかと思われます。多くの日本のユーザーにとって今後バイナンスジャパンへの移行はどうなるのか、バイナンスに保有している銘柄はどうなるのかなど、不安に思われることがあると思います。
そこで、今回発表された内容をそのままの形で紹介していきます。
この記事を読むと、バイナンスの発表内容、移行スケジュール、よくある質問とその回答について知ることができます。
バイナンスの発表内容

引用元:https://www.binance.com/en/land/japan-may-notice-ja
バイナンスの発表内容を紹介していきます。
Binanceをご利用の皆様
いつもBinanceをご利用いただき、ありがとうございます。
この度、日本国内の法令遵守のもと、今夏を目処に国内居住者向け専用の新たな取引プラットフォーム(以下「国内向け新プラットフォーム」という。)を設立する運びとなりましたのでご案内いたします。稼働日を含め詳細につきましては近日中に改めてご連絡いたします。
バイナンスがサクラエクスチェンジビットコインを買収した時から、日本に進出することはほぼ決まっていたようなものですが、ついに正式に国内向け新プラットフォームを設立するという発表がなされました。
バイナンスは過去に何度か日本の金融庁から警告を受けており、ついに正式に日本進出の発表となりました。「日本国内の法令遵守のもと」という文章を入れていることからも、バイナンスは金融庁と協調体制を取る意思があることをアピールしているものと思われます。
Binanceは、昨年の11月30日に関東財務局登録の暗号資産交換業者である株式会社サクラエクスチェンジビットコインを買収し日本国内の暗号資産ビジネスに参入いたしましたが、以来、関係者の皆様と日本国内でWeb3のエコシステムの立上げに向けた準備を進めてまいりました。今回の国内向け新プラットフォームの設立はその最初のステップとして位置付けられ、当該プラットフォームの稼働に合わせて社名もサクラエクスチェンジビットコインから「Binance Japan株式会社(仮称)」への変更を予定しております。
社名はサクラエクスチェンジビットコインから、仮称ではありますがBinance Japan株式会社へ変更されます。仮想通貨取引所の立ち上げと表現せずにWeb3のエコシステムの立ち上げと表現しているところが何を意味するのか興味深いところです。
国内居住者向け専用にご提供するサービスについて、今夏(予定)の開始時点では、主に以下に記載のサービスを中心とした取り扱いを予定しております。今後、各サービスにおける取扱い範囲の拡充を行うとともに、先物取引を含むデリバティブ取引サービスについてもできる限り早くご提供することを目指し、当局との緊密な連携のもと、日本法令に準拠した形で鋭意準備を進めてまいります。
サービスの開始は2023年の夏に予定されており、各サービスを拡充させていくこと、先物取引を含むデリバティブ取引サービスも提供が予定されているとあります。
ここでも「当局との緊密な連携の基、日本法令に準拠した形で鋭意準備を進めてまいります。」という文章を入れていることから、バイナンスはこの点を強調したいのだと思われます。これはユーザーに向けてというよりは、日本の金融庁に向けてのものかも知れません。
このほか、Web3教育を推進する目的でユーザー向けに無料で提供する教育プラットフォームである「Binanceアカデミー」など、Binanceが有する世界最大級のブロックチェーンエコシステムを生かした様々な取り組みを国内において本格始動し、順次サービス拡充を図ります。これからのBinance Japanにどうぞご期待ください。
「Binanceアカデミー」や、バイナンスの強みを活かして順次サービスを拡充させていくとあります。どのようなサービスが登場するのでしょうか。
なお、国内向け新プラットフォーム開設に伴い、現在ご利用いただいているグローバルの取引プラットフォームは、2023年11月30日をもって日本居住者向けのサービスの提供を終了いたします。
バイナンスのグローバルの取引プラットフォームは、2023年11月30日をもって終了することになりました。今回の発表から半年間の猶予をもたせていることが分かります。
コインベースは日本から撤退すると発表した約一ヶ月にサービスを終了しており、それと比べるとバイナンスは半年間の猶予をもたせていて、かなり余裕を持った移行ができます。
現在グローバルの取引プラットフォームをご利用のお客様を対象に、今後国内向け新プラットフォームへの移行および口座開設に必要な本人確認等のお手続きのご案内を2023年8月1日以降に別途お送りさせていただきます。
2023年8月1日以降に各手続きの案内が送られてきます。
国内向け新取引プラットフォームへの円滑な移行のため、以下の移行スケジュールをお読みのうえ、お手数ですが各期日までに必要なお手続きを済ませていただけますよう、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。なお、以下の移行スケジュールは本ご案内の発出時点のものであり、今後変更が生じる可能性がございます。変更が生じた場合には速やかにご連絡いたします。
Binanceは、資金決済法・金融商品取引法上の登録を受けることなく、国内居住者に対し暗号資産取引サービスを提供したことから当局より警告を受けました。
今夏の国内向け新プラットフォーム設立にあたり、当該警告を厳粛に受け止め、法令遵守体制を再構築するとともに、国内ユーザー保護の強化を図ってまいります。当局との緊密な連携のもと、今後さらなるサービスの拡充を図り、日本国内の暗号資産の普及において主導的な役割を果たしてまいります。
ここでも日本の金融庁へのアピールが徹底しています。また、最後に「主導的な役割を果たしてまいります。」という一文を入れているところに、日本市場への参入は後発ながらも、世界一の仮想通貨取引所としての自負が垣間見えます。

引用元:Binanceから送信されたメール
こちらは、Binance Japan体制下における新サービス概要をまとめた表です。
グローバルの取引プラットフォームと比較すると、かなりサービスが縮小された内容でスタートすることが見てとれます。
特徴としては、Simple EarnやNFTマーケットプレイスがある点が挙げられます。
移行スケジュール

引用元:https://www.binance.com/en/land/japan-may-notice-ja
移行スケジュールを紹介していきます。
5/26
デリバティブ取引口座開設の新規受付を終了
6/9
オプションおよびレバレッジドトークンの新規建注文の停止
新規建注文のみを停止し、手仕舞い注文は6/23まで受け付けます。
6/23
オプション取引およびレバレッジドトークンの終了
当日までに決済が未了のポジションは自動で手仕舞いされます。
先物取引(新規注文)のレバレッジ上限が10倍に変更
レバレッジの変更措置を含めて具体的な対応について別途ご案内いたします。
8/1
国内向け新プラットフォーム移行のための本人確認手続き受付開始(~11/30まで)
国内向け新プラットフォームでの暗号資産現物(スポット)取引における対応予定通貨:開始時は約30種類程度を予定。
上記を保有されているお客様
本人確認手続きを完了された場合、対応可能通貨の残高は新プラットフォームに移管され、12/1以降国内向け新プラットフォームでの取引が可能です。
本人確認手続きを完了後も11/30までは継続してグローバル取引プラットフォームでの取引が可能です。
上記対応可能通貨以外
11/30までに対応可能通貨に交換いただくか、お引出しください。対応可能通貨以外の通貨について11/30までに当該手続きが取られない場合、同日中に当社が別途指定する時間をもってBTCに強制的に変換が実施されます。
2023年8月1日から移行のための本人確認手続きの受付が開始され、手続きを完了させた場合は、対応可能通貨の残高は国内向け新プラットフォームに移管され取引可能、対応可能通貨以外はBTCに強制的に変換とあります。
BTCに強制的に変換されたくない場合は、2023年11月30日までにその通貨をバイナンスから移動させておく必要があります。
10/27
Margin取引の新規建注文(新規借入)の停止
Earnの新規契約の停止
11/6
先物取引の新規建注文の停止
新規建注文のみを停止し、手仕舞い注文は11/19まで受付けます。
11/20
先物取引終了
当日までに決済が未了のポジションは自動で手仕舞いされ、返還された証拠金(暗号資産)のうち非許可資産についてはBTCに強制変換されます。
11/27
Margin取引終了
当日までに決済が未了のポジションは自動で手仕舞いされ、証拠金(暗号資産)が返還されます。返還された暗号資産は現物アカウントに入ります。
Earnの契約の強制解約
当日までに未解約の契約は自動で強制解約され、返還された元本および報酬のうち非許可資産についてはBTCに強制変換されます。
11/29
現物取引を除くサービス(本スケジュールにおいて明確化されたものは除きます)の終了
サービス終了に至るプロセスの詳細は追ってご連絡いたします。
11/30
グローバル取引プラットフォームによる現物取引提供終了(これをもってグローバル取引プラットフォームにおける全サービスが終了することとなります)
暗号資産現物(スポット)取引終了
未執行注文のキャンセルと新規注文の停止が行われます。
対応可能通貨以外の通貨について11/30までに当該手続きが取られない場合、同日中の当社が別途指定する時間をもってBTCに強制的に変換が実施されます。
2023年11月30日をもってバイナンスのグローバル取引プラットフォームが終了します。
12/1
国内向け新プラットフォーム移行
本人確認手続きが完了している場合、対応可能通貨の残高は新プラットフォームに移管され、国内向け新プラットフォームでのサービスをご利用頂けます。
本人確認手続きが完了されていない場合、暗号資産現物のお引き出しのみ可能
2023年12月1日から国内向け新プラットフォームに移行します。本人確認手続きが完了している場合、対応可能通貨は国内向け新プラットフォームに移管されます。

引用元:Binanceから送信されたメール
こちらは、各サービス移行スケジュール概要を一覧表にしたものです。
先物取引を除くデリバティブ取引、先物取引、Margin取引、Earnが段階的に終了していき、最後に現物取引が終了するという流れです。
よくある質問とその回答

引用元:https://www.binance.com/en/land/japan-may-notice-ja
よくある質問とその回答を紹介していきます。
1.先物取引のポジションを保有している場合は、どうすればいいですか?
6月23日以降、先物取引の新規注文におけるレバレッジ上限が10倍へ変更となります。レバレッジの変更措置を含めて具体的な対応について別途詳細をEメールにてご案内させていただく予定です。また、11月6日以降、新規建注文の受付は一律停止されますのでご了承ください。恐れ入りますが、先物取引のポジションについては11月19日の所定の時刻までに清算を完了していただきますようお願いいたします。
2.レバレッジドトークンの保有ポジションは、どうすればいいですか?
6月9日以降レバレッジドトークンの新規建注文の受付は停止されますのでご了承ください。恐れ入りますが、6月23日までに手仕舞い清算を完了していただきますようお願いいたします。6月23日所定の時刻までに決済が完了されていない場合、強制決済させていただきます。
3.オプション取引のポジションを保有している場合は、どうすればいいですか?
6月9日以降オプション取引の新規建注文の受付は停止されますのでご了承ください。恐れ入りますが、6月23日までに手仕舞い清算を完了していただきますようお願いいたします。6月23日所定の時刻までに決済が完了されていない場合、強制決済させていただきます。
4.現物(スポット)取引の保有資産はどうすればいいですか?
11月30日をもって現物取引のサービス提供を終了します。同日に未執行注文のキャンセルと新規注文の停止が行われます。新プラットフォームで対応予定の通貨以外は、2023年11月30日の所定の時刻をもってBTCに強制的に変換が実施されますのでご了承ください。恐れ入りますが、期限までにお客様において清算を完了いただきますようお願いいたします。
現物取引は2023年11月30日をもって終了。新プラットフォームで対応予定の通貨以外は2023年11月30日の所定の時刻をもってBTCに強制的に変換が実施されるということです。
5.デリバティブ取引のポジションを手仕舞いしなくてはいけないのはなぜですか?
現在、日本国内の法令遵守のもと、国内専用の新たな取引プラットフォームを設立する準備を進めております。これに伴い、今夏の新取引プラットフォームによるサービス開始時点では、デリバティブ取引のサービスは提供いたしません。将来的には先物取引を含むデリバティブ取引サービスの提供を目指しており、詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。
6.現状のグローバル取引プラットフォームで満足しています。なぜ日本向けの新プラットフォームへの移行をする必要があるのですか?
現在、Binanceは、日本国内において当局との緊密な連携のもと、日本法令に準拠した形で新たな取引プラットフォームの設立に向け、鋭意準備を進めております。日本国内に居住されているお客様におかれましてはご理解賜りますようお願い申し上げます。Binanceが有する世界最大級のブロックチェーンエコシステムを生かした様々な取り組みを国内において本格始動し、順次サービス拡充を図ります。これからのBinance Japanにどうぞご期待ください。
ここでも改めて、日本の金融庁との緊密な連携のもと、日本法令に準拠するという点が強調されています。
7.日本国内に居住している場合、グローバル取引プラットフォームを今後も利用できますか?
今夏の国内向け新プラットフォーム開設に伴い、現在ご利用いただいているグローバルの取引プラットフォームは、2023年11月30日をもって日本居住者向けのサービスの提供を終了いたします。新プラットフォーム移管に必要な本人確認手続きのご案内を8月1日以降別途ご案内予定です。本人確認手続き完了後も11月30日までは一部制限はあるもののグローバル取引プラットフォームをご利用いただけます。12月1日以降はご利用いただくことができませんので、ご了承ください。
グローバル取引プラットフォームは2023年11月30日までしか利用できないということです。
8.今後立ち上げ予定の国内向け新プラットフォームでは、これまでのグローバル取引プラットフォームで提供していたサービスと同じ内容が提供されるのですか?
新プラットフォーム開始時点では、スポット取引において取扱銘柄はおよそ30種類程度を予定しております。日本国内の法令に準拠するため、デリバティブ取引を含む一部サービスは提供いたしませんが、今後も取扱銘柄の拡充およびデリバティブ取引サービス提供に向けた準備を鋭意進めてまいります。
国内向け新プラットフォームは、グローバル取引プラットフォームと比較して、取り扱い銘柄は大幅に減少して、サービス内容も大幅に縮小されるということです。
9.今後立ち上げ予定の国内向け新プラットフォームにおいて、スポット取引で提供予定の銘柄を教えてください。
新プラットフォーム開始時点では、スポット取引において取扱銘柄はおよそ30種類程度を予定しております。詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。今後も取扱銘柄の拡充に向けた準備を鋭意進めてまいります。
国内向け新プラットフォームでの取り扱い銘柄は、およそ30種類程度を予定しているということです。
10.今後立ち上げ予定の国内向け新プラットフォームでは、デリバティブ取引は提供しますか?
今夏の新取引プラットフォームによるサービス開始時点では、デリバティブ取引のサービスは提供いたしません。将来的には先物取引を含むデリバティブ取引サービスの提供を目指しており、詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。
最初はデリバティブ取引のサービスは提供しないということです。
11.現在グローバル取引プラットフォームで保有している資産は今後どうなるのですか?
12月1日以降、日本国内に居住されているお客様はグローバル取引プラットフォーム上においてお引き出しのみ可能です。現在ご利用いただいているグローバルの取引プラットフォームは、2023年11月30日の所定の時刻をもって日本居住者向けの全サービスの提供を終了いたします。
2023年12月1日以降、グローバル取引プラットフォームで保有している通貨の引き出しは可能ということです。
12.期限を過ぎてもなお決済未了のポジションを保有していたり、新取引プラットフォームでの対応通貨以外を保有していた場合はどうなるのですか?
先物取引については11/19まで、暗号資産現物については11/29までに対応可能通貨に交換いただくか、お引出しください。新プラットフォームで対応予定の通貨以外は、2023年11月30日の所定の時刻をもってBTCに強制的に変換が実施されますのでご了承ください。12月1日以降は、暗号資産現物のお引き出しのみ可能です。恐れ入りますが、期限までにお客様において必要なお手続きを完了いただきますようお願いいたします。
13.12月1日時点で新取引プラットフォームでの対応通貨以外を保有していた場合はどうなるのですか?
現在ご利用いただいているグローバルの取引プラットフォームは、2023年11月30日をもって日本居住者向けの全サービスの提供を終了し、同日中に現物取引においては未執行注文のキャンセルと新規注文の停止が行われます。11/29までにKYCを完了の上、対応可能通貨に交換いただくか、お引出しください。新取引プラットフォームでの対応通貨以外を保有されていた場合、2023年11月30日の所定の時刻をもってBTCに強制的に変換が実施されますのでご了承ください。12月1日以降は、暗号資産現物のお引き出しのみ可能です。
14.現在海外在住の場合、本人確認や住所確認の登録情報を更新することで、国内居住者向け取引プラットフォームではなく、グローバルの取引プラットフォームを使用することができますか?
過去に日本に居住されていた方で現在は海外在住の場合、現住所を証明できる本人確認書類をご提出いただくことでご登録されている居住国の変更が可能です。二重国籍をお持ちの場合、現住所をもとにした本人確認書類をご提出いただく必要があります。
まとめ
今回発表されたスケジュールを簡単にまとめます。
- 2023年8月1日、移行のための本人確認手続き開始。
- 2023年11月30日、バイナンスグローバル終了。
- 2023年12月1日、バイナンスジャパン開始。
今回発表された内容を簡単にまとめます。
本人確認手続きをした場合
- 対応可能通貨 → 移管される
- 対応可能通貨以外 → BTCに変換される
本人確認手続きをしない場合
- 対応可能通貨 → 移管されない(引き出しは可能)
- 対応可能通貨以外 → BTCに変換される
この記事の内容は極力正確なものになるように努めていますが、間違いがある可能性もありますので、ご自身でも広く情報を収集されることをおすすめいたします。
今後もバイナンスに関する情報を追っていきたいと思います。
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