
トラベルルールに関して知っておいた方が良い情報や、勘違いしやすい点について紹介します。
この記事を読むと、トラベルルールに関して事前に知っておくことで無用の失敗を避けることができる情報を知ることができます。
国内の各仮想通貨取引所が、トラベルルール導入に伴う対応についてのお知らせを発表していますが、その中で気になる部分を紹介します。
GMOコインの対応
注意点の1つ目として、GMOコインが発表している「トラベルルール対応についてのお知らせ」の中に気になる内容があるので詳しく見ていきます。

引用元:https://coin.z.com/jp/news/2023/05/11074/
預入時の注意事項という項目に「当社による送付元情報の確認結果によっては、暗号資産の口座への反映をお断りする場合がございます。また、暗号資産の性質上、反映をお断りした場合でも暗号資産の返送はできかねますので、あらかじめご了承ください。」と記載されています。
要約すると、GMOコインの判断次第ではGMOコインに送付した暗号資産は失われてしまう可能性があり、送付元に返送もされないということです。
もちろん、問題のない送付であればきちんと口座に反映されると思いますが、かなりインパクトの強い記載内容なので紹介しました。
では、どのような場合に暗号資産の預入が口座に反映されないのでしょうか。
GMOコインが発表している「トラベルルールについてよくあるご質問」の中に暗号資産の預入が口座に反映されないケースについての記載があるので詳しく見ていきます。

引用元:https://coin.z.com/jp/news/2023/05/11077/
暗号資産の預入が口座に反映されないケースとして以下のような場合が挙げられています。
- 送付元に心当たりがないなど、誤って暗号資産が送付された場合
- 送付元の暗号資産交換業者から通知された通知事項の内容と、当社にご登録されているお客さま情報が異なる場合で、当社から送付元の暗号資産交換業者に対して照合結果を通知しているにも関わらず、当社に暗号資産が送付された場合
- 送付元のアドレスが日本を含む諸外国の規制当局から違法なサービスや違法薬物の取引等に関連するアドレス、または経済制裁対象に指定された人物や関連が疑われるアドレスとして指定されている場合
- 送付元のアドレスにおいて、違法なサービス等であることが疑われるアドレスと暗号資産の送付や受取が確認された場合
- その他、ご登録いただいた送付元に関する情報等を総合的に勘案して、暗号資産の口座への反映が不適当であると当社が判断した場合
1に関しては、送付元に心当たりがないかどうか、誤って送付された暗号資産かどうかの確認はどのように行われるのかについては少し気になるところではありますが、内容は妥当であり、暗号資産を送付された側にとっては損失はないものと思われます。この場合、暗号資産を誤って送付した側にその暗号資産が返送されるのかどうかは、記載がないので分かりません。
2に関しては、暗号資産を送付した人のミスというより、送付元の取引所のミスまたは過失のように思えるので、2のパターンにより送付した暗号資産が口座に反映されないのは少しどうなのかなと思うところがあります。
3に関しては、送付元のアドレスそのものに違法性がある場合であり、4に関しては、送付元のアドレスが違法性のあるアドレスと関係がある場合なので、ほとんどの人にとっては問題ないと思われます。
5に関しては、平たく言えばGMOコインのさじ加減一つということだと思われるので、ユーザーとしてはどうすることもできません。
1から5までの内容を見ていくと、特に2のパターンを注意すべきだと思います。送付元の暗号資産業者とGMOコインとで、登録内容が違うと暗号資産を送付できないということだと思われるので、両者に登録している内容を一致させておくことで問題を回避できるのではないかと思われます。
しかし、暗号資産は本人から本人へ送付するだけではなく、本人以外から本人へ送付される場合もあるので、送付元の暗号資産業者とGMOコインとで登録内容が違う場合もあり、その場合はどうなるのかという疑問があります。
以上、GMOコインの対応における注意点を紹介しました。
同じ情報通知システム間の送付
注意点の2つ目として、情報通知システム「TRUST」を採用しているビットフライヤーとコインチェック間の暗号資産の送付について詳しく見ていきます。
ビットフライヤーから送られてきたメールの中に次のような記載があります。

引用元:ビットフライヤーから送信されたメール
「ただし、2023年5月30日時点では、Coincheckと当社間ではBTCのみお預入・ご送付が可能
Coincheck側での開発後にETH、ERC-20のトークン暗号資産のお預入・ご送付が可能になる見込み」
ビットフライヤーとコインチェックは同じ情報通知システムのTRUSTを採用しているので、この両者間ではどの暗号資産でも送付できるのではないかと思ってしまいそうになりますが、2023年5月30日時点ではBTCのみの預入と送付しかできないということなので、注意が必要となります。
ちょうどこの記事を書いている時に、コインチェックから以下のメールが届きました。

引用元:コインチェックから送信されたメール
「本対応により、2023年5月31日以降、TRUSTを導入している暗号資産交換業者へもETHの送金・受取が可能となりました。」とメールに記載されており、ビットフライヤーとコインチェック間ではBTCとETHの預入と送付ができるようになりました。
しかし、まだERC-20のトークン暗号資産の預入と送付はできないと思われるので注意が必要です。
また、TRUSTに対応している暗号資産として、BTC、ETH、ERC-20のトークン暗号資産が挙げられており、これら以外の暗号資産はTRUSTに対応していない可能性があります。
TRUSTに対応していない暗号資産は、TRUSTを導入している取引所であったとしてもその取引所への送付はできないので注意が必要です。
このように同じ情報通知システムを採用している取引所間であっても、全ての暗号資産を送付できるというわけではないようです。
以上、同じ情報通知システム間の送付における注意点を紹介しました。
通知対象国と通知対象国以外
注意点の3つ目として、通知対象国と通知対象国以外について、暗号資産の送付に関する情報を詳しく見ていきます。
暗号資産を送付できるのは通知対象国以外と、通知対象国で同じ情報通知システムを採用している場合です。通知対象国であっても異なる情報通知システムを採用している場合は送金できません。
通知対象国は以下の21の国・地域です。

引用元:ビットフライヤーから送信されたメール
- 日本
- アメリカ合衆国
- アルバニア
- イスラエル
- カナダ
- ケイマン諸島
- シブラルタル
- シンガポール
- スイス
- セルビア
- 大韓民国
- ドイツ
- バハマ
- バミューダ諸島
- フィリピン
- ベネズエラ
- 香港
- マレーシア
- モーリシャス
- リヒテンシュタイン
- ルクセンブルク
ここは少し頭の整理が必要なところではないかと思われます。
そもそもトラベルルールというのは、情報を通知し合うことにより不正送金を防止するためのものという認識があるので、通知対象国へは送金できて通知対象国以外へは送金できないのではないかと思ってしまいそうになりますが、そうではないところにややこしさがあると思います。
実際には、通知対象国同士で枠組みを作り情報を通知し合い、その中で情報通知システムの違いにより暗号資産を送付できる場合とできない場合があり、通知対象国以外への暗号資産の送付は今まで通り何の規制もなくできる、ということだと思われます。
この辺りの情報を分かりやすくまとめた表をビットフライヤーが作成してくれているので、こちらで紹介します。

引用元:ビットフライヤーから送信されたメール
まとめると以下のようになります。
- 通知対象国でTRUST対応取引所へは、TRUST対応暗号資産の預入・送付が可能。
- 通知対象国でTRUST非対応取引所へは、預入・送付不可。
- 通知対象国以外へは、全ての暗号資産の預入・送付が可能。
- プライベートウォレットへは、全ての暗号資産の預入・送付が可能。
これはビットフライヤーが作成した表なので情報通知システムがTRUSTとなっていますが、TRUSTの部分をSYGNAに置き換えてもいいと思います。
以上、通知対象国と通知対象国以外における注意点を紹介しました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
トラベルルールに関する情報はその都度更新されていくと思われますので、大切な資産を失わないためにも、情報を追っていくことが大切だと思います。
この記事の内容は極力正確なものになるように努めていますが、ご自身により広く情報を集められることをおすすめいたします。
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