
今回は、グレイスケールがビットコインETFをめぐる裁判でSECに勝訴して、ビットコイン価格が上昇した理由について解説していきます。
この記事の構成は、グレイスケールとSECの裁判の内容、グレイスケールのGBTCとは、GBTCプレミアムとは、ビットコイン価格が上昇した理由となっております。
この記事を読むと、GBTCのETFへの転換に関する情報を知ることができます。
グレイスケールとSECの裁判の内容

2023年8月29日グレイスケールは、SEC(米国証券取引委員会)との裁判に勝訴しました。
2022年6月29日、SECはGBTC(グレイスケールビットコイントラスト)のETFへの転換を求めるグレイスケールの申請を「詐欺や操縦行為を防ぐように設計されていない」として却下しました。
しかし今回連邦控訴裁判所は、SECがグレイスケールの申請を却下したことを見直すよう命じる判決を下しました。
これによりSECはGBTCのETFへの転換を求めるグレイスケールの申請を受理して、審査を行うということになりました。
以前、連邦控訴裁判所のネオミ・ラオ判事は、SECはグレースケールがなぜ誤っているのか説明していないと述べていました。
なお、今回の判決を受けてグレイスケールのCEOであるマイケル・ソネンシャインは次のようにX(Twitter)に投稿しました。
ジャストイン
DC巡回裁判所は$GBTCのETFへの転換を拒否するSECの決定に対する異議申し立ての訴訟で@Grayscaleに有利な判決を下しました。
私たちとともにこの旅を続けてくださった皆様、特に投資家の皆様に感謝いたします。皆様のご支援、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
次に、当社の法務チームは裁判所の意見を積極的に検討しています。最新情報については@Grayscaleをフォローしてください。
🚨 JUST IN 🚨
— Sonnenshein (@Sonnenshein) August 29, 2023
The D.C. Circuit ruled in favor of @Grayscale in our lawsuit challenging the SEC's decision to deny $GBTC's conversion to an ETF!
Thank you to everyone who has been on this journey with us, especially our investors. We are grateful for your support and…
グレイスケールのGBTCとは

ここで、グレイスケールのGBTCとは何なのかについておさらいしておきたいと思います。
シンプルに言うと、GBTCというのはグレイスケールが提供するビットコイン投資信託のことです。
GBTCはビットコイン価格と連動した投資信託で、機関投資家や認定投資家を対象に提供されており、株式のように売買が可能です。GBTCの最低投資要件は5万ドル(約725万円)からとなっており、手数料は年間2%です。2023年8月30日時点におけるGBTCの運用資産残高は174億ドル(約2兆5230億円)です。
ちなみに、米国における認定投資家とはSECから認められた投資家のことをいいます。米国で認定投資家になるためには、100万ドル(約1億4500万円)の純資産を持っているか、過去2年間に毎年少なくとも20万ドル(2900万円)の収入がなければならないなどの要件があります。
GBTCは、機関投資家や認定投資家がグレイスケールにBTCか現金を渡して発行されますが、GBTCからBTCに償還できないという仕組みになっています。
投資家にとってGBTCを購入するメリットは、現物のビットコインを売買したり保管する必要がなく、ビットコインを紛失したりする危険性がないということが挙げられます。
GBTCプレミアムとは
GBTCはビットコイン価格と連動した投資信託ではありますが、ビットコイン市場とは独立しており、GBTCの需給に応じてビットコイン価格との間に価格差が生じます。その価格差のことをGBTCプレミアムといいます。
GBTCの人気が高まり需要が増せば、GBTCプレミアムはプラスになり、GBTC価格はビットコイン価格と比べて割高になります。
逆にGBTCの人気が低下して需要が減れば、GBTCプレミアムはマイナスになり、GBTC価格はビットコイン価格と比べて割安になります。GBTCプレミアムがマイナスの状態のことを、GBTCがディスカウント状態にあるといいます。

引用元:https://www.coinglass.com/ja/Grayscale
CoinGlass提供のデータによると、GBTCプレミアムレートはグレイスケールの勝訴を受けて、2023年8月31日現在、数日前のマイナス25%からマイナス18%にディスカウント率が縮小しています。
もし、GBTCがETFに転換されるとGBTCとBTCの交換が可能となり、GBTCのディスカウントは解消していくことになります。
現在のディスカウント率が拡大している時にGBTCを購入しておき、将来GBTCのETFへの転換によりディスカウント率が縮小した時にGBTCを売れば利益を得ることができます。
現在GBTCのディスカウント率がマイナス25%からマイナス18%に縮小している背景には、こうしたことを見越した投資家がGBTCを購入して需要が増しており、ディスカウント率が縮小しているものと思われます。
ビットコイン価格が上昇した理由

今回、グレイスケールがSECに勝訴したことにより、GBTCがETFに転換されるということが保証されたわけではありません。
それにも関わらずビットコイン価格は、グレイスケールの勝訴を受けて、2023年8月29日午後に約7%以上急騰して2万8000ドル、日本円にして約400万円を回復しました。
今回の連邦控訴裁判所による判決は、GBTCがETFに転換されるということが保証されるものではないにも関わらず市場が大きく反応した理由は、SECが敗訴したというインパクトによるところが大きいのではないかと思われます。
これまでSECはリップル社やコインベースを提訴しているにも関わらず、リップル社やコインベースのどこが間違っているのかを説明しないという姿勢を貫いてきました。今回の連邦控訴裁判所による判決は、そうしたSECの姿勢に釘を刺したことになるといえるでしょう。
また、今回の判決はGBTCをETFに転換する申請を却下したことを認めないというものであり、まっとうな理由がなければいかにSECといえども簡単に申請を却下することができないということが示されました。これはSECのこれまでの姿勢が通用しなくなってきていることの表れでもあります。
つまり、SECは今後きちんとした説明がなければ現物のビットコインETFの申請を却下したり、現物のビットコインETFそのものを却下することが難しくなったといえるでしょう。このことにより、現物のビットコインETFが承認される可能性が高まったと判断され、ビットコイン価格が上昇したと思われます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、グレイスケールが勝訴したことにより、なぜビットコイン価格が上昇したのかということについて解説しました。
今後もビットコインに関する情報をお届けしていきたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿